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リチウムイオン電池に交換(効果検証) [補機電池]

 さて、補機電池のリチウムイオン電池Warriorへの交換による効果を検証してみます。期待される効果としては、
  1. 軽量化
  2. 起動安定化
  3. バッテリ上がり防止
  4. 燃費改善

が挙げられます。では、これらについて順に検証していきます。

 まず軽量化については、当然、鉛電池との重量の差分が軽量化分となります。軽量化は絶対正義です。鉛電池とWarriorのそれぞれの重量を計測しました。
Warriorの重量
鉛電池の重量
Warriorは4.2kgで鉛電池は12.8kgでした。その差は8.6kgとなりました。補機電池を交換するだけでこれだけの軽量化効果が得られます。その結果、後輪サスペンションの沈み込み量がかわるのでこれを比較してみました。
交換前:フェンダー上端地上高64.3cm
交換前地上高
交換後:フェンダー上端地上高64.6cm
交換後地上高
うーん、正直、あまり違いが出ませんでしたね。ついでに大きさ比較の写真も載せておきます。
サイズ比較

 次に、起動安定化とバッテリ上がり防止ですが、冬の間も特に問題なく始動できました。交換前の鉛電池では、気温が低いときに始動するとインパネの表示が暗くなったりちらついたり、一回では起動できずに何度か始動ボタンを押すことになったりしましたが、交換後はそんなことはまったくありませんでした。この点は狙い通りの効果で大満足です。

 最後の燃費改善についてですが、Warriorの発売元のプロテクタさんでは主にこの効果を謳っています。ただ、これは通常のガソリン車での話で、そのままHVにも当てはまるかはわかりません。そこで、一ヶ月ほど走って実燃費を測ってみました。燃費計測は気温や走行距離で左右され厳密に実施するのは難しいのですが、今回は実走行データをもとに温度補正を加えて27℃相当に換算してなるべく公平に比較できるようにしてプロットしました。トリップとは一回の使用開始から終了までの走行を指します。
燃費比較@27℃補正
これを見る限り、明確な燃費の違いは無さそうです。プリウスは普通のガソリン車と違ってオルタネータではなくDC/DCコンバータで補機電池への定電圧充電を行っています。オルタネータの方がエンジン負荷に直接影響が出やすいのかもしれません。軽量化による燃費改善もありますが、8kg程度では変化は少ないでしょう。

 もう一つ、心配な点があってそれは長期放置したときに電圧が維持できるか、と言うことです。最近の自動車ではスマートキーやセキュリティ機器等が増加しており駐車中でも消費する電流が増えております。そのため補機電池が弱ってくると、駐車中に電圧が低下して起動できなくなることがあります。
 リチウム電池で鉛電池に等価の容量といっているのは、エンジンのクランキング時に必要な電流を供給できるかどうかで決まっています。リチウム電池は鉛電池に比べて大電流放電特性が良いのでより小さい容量で同じ電池電流を供給でき、鉛電池のおおよそ3倍の容量に相当します。つまりリチウム電池は実容量が3分の1しかないということです。ところが、長期放置では微小電流が流れつづけるのでほぼ実容量で効いてくることになり、リチウム電池は不利と思われます。
 で、実際に一週間ほど放置してみましたが、この程度ではまったく問題ないようです。ということで、特に短いということもなく安心して使えそうです。

 以上、リチウムイオン電池Warriorへの交換とその検証でした。まとめると、少々高価ではありますがプリウスの場合は標準の鉛電池も、もともと高価なので差額は相対的に小さくなります。そして、電圧が高めになるので総じて動作が安定になります。一般的にはオーディオの音質が向上するとか言われてますが、僕には?です。軽量化は確かですが、量的にはわずかです。燃費改善の効果も今のところ明確ではありませんでした。あとは、長寿命で交換頻度が減ることが期待できます。
 強くお勧めとは言えませんが、寒冷地ユーザー等でバッテリ上がりを回避したい人は検討してみてはいかがでしょうか?
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コメント 7

NO NAME

>電圧が高めになるので総じて動作が安定になります。

そうなんですか?
なぜそうなるのですか?
by NO NAME (2014-06-30 09:54) 

Electricity

お読みいただき、またコメントいただきありがとうございます。

電圧が高めと言いますのは、リチウムイオン電池の単セルの電圧は一般に3.6Vと言われており、これを4個直列にしてます。すると、3.6×4=14.4[V]になります。これは、鉛電池の充電時電圧(13.8V)より高くなります。このことによって電圧が高めと言いました。

そして、安定と言いますのは、電圧が低いとブレーキポンプやリレーが動作したときエラーが発生して起動できないことがあります(特に冬場)。リチウムイオン電池に交換してからはそんなことはなく一発で起動できており、これによって動作が安定と言いました。

説明が足らずにすみませんでした。
by Electricity (2014-07-02 23:15) 

NO NAME

よくわからないのですけど
鉛蓄電池は定電圧充電ですよね?
リチウム電池も電流制限はしますけど、定電圧充電ですよね?

鉛蓄電池の充電電圧が13.8Vならば
リチウム電池も13.8V上限で充電されるんじゃないでしょうか?

余談ですが
今回導入されている電池は、リン酸鉄系リチウムですよね?
>リチウムイオン電池の単セルの電圧は一般に3.6Vと
リン酸鉄系は定格3.3Vで、充電時電圧は3.6Vです

by NO NAME (2014-07-11 19:47) 

Electricity

そのとおり、充電系はそのままですので定電圧で充電されます。前のコメントで充電時電圧13.8Vと書いたものです。で、いま安定性について気にしているのは起動時で、起動前は充電系はまだ作動していません。したがって電池の電圧電流特性に依存します。低温時や劣化した鉛電池では電流を流すと電圧が急激に低下し、必要な電圧を維持できなくなります。リチウム電池は電圧電流特性が比較的フラットなので、電圧の低下があまりありません。それで安定な動作ができることになります。

確かに今回の電池はリン酸鉄系のリチウムイオン電池で、これはコバルト系よりも単セル電圧は低くなります(お詳しいですね)。
上の理屈からすると、前のコメントで単セル電圧で説明したのは不正確だったかもしれません。

こんな説明でご納得いただけますでしょうか?
by Electricity (2014-07-12 18:50) 

NO NAME

私なりの理解で書かせていただきます。

>電圧が高めになるので総じて動作が安定になります。
これは、負荷がかかったときの電圧降下が少なく、安定して電圧を供給できます。

この認識であってますでしょうか?
by NO NAME (2014-07-15 18:59) 

Electricity

はい、そのとおりです。
by Electricity (2014-07-19 10:07) 

Noname

はじめまして。
とても興味深い検証をされており、勉強させていただきました。
気になる点があり、質問させてください。
一般的にリン酸鉄系のLiの温度特性は低温で内部抵抗が急激に増加するために、低温(0℃〜-40℃)での仕様は鉛に比べてクランキングの能力は劣るものだと考えておりました。
低温での始動性が鉛側が優れているのはどのような観点からでしょうか?

回答いただけますと幸いです。よろしくお願いします。
by Noname (2015-09-10 20:55) 

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