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プリウス地デジ化完結(チャンネルスイッチ連動) [地デジ化]

 前回から時間が開きましたが、ようやく予告していたステアリングホイール内蔵のチャンネル上下スイッチで地デジチューナのチャンネル操作をできるようにしました。
 プリウスに限らず最近の車はステアリングにオーディオ操作用のスイッチがついてますね。でも、純正ではない機器を搭載した時はそのスイッチは使えなくなってしまいます。もちろん使えるようにするオプションケーブルもあります。

 今回は地デジチューナーを自分で設置したので、ステアリングスイッチ連動も自作します。ステアリングスイッチは複数のスイッチをまとめて検知する仕組みになっており、押されたスイッチによって信号線の電圧値が変わる仕組みです。この電圧を検知すればどのスイッチが押されたのか知ることができます。
 使いたいのはチャンネルの送り戻りスイッチです。このスイッチは音量上げ下げスイッチと信号線を共有してます。ですので、ついでなのでチャンネル送り戻し音量上げ下げの四つのスイッチを検出できるように回路を作ります。ただし、実際に使うのはチャンネルのスイッチのみで、音量スイッチは使いません。とはいえ、音量は車両側のアンプで操作するので問題ありません(もともとHVT-BCT300には音量スイッチはありません)。
 では、その信号線がどこにあって出力電圧がいくらかというのはトヨタが出してる配線図集とか修理書を見ればわかります。これによると、信号線はラジオレシーバASSY背面のコネクターD(一番横長のやつ)の7番とのことです。スイッチと電圧の関係は下記だそうです。VOLは音量、SEEKはチャンネルです。信号線とグランド間の抵抗値も記載されているので合わせて記します。
  • 押さない:4V以上、約100kΩ
  • VOL-:3.4V、約3.2kΩ
  • VOL+:2.0V、約1kΩ
  • SEEK-:0.9V、約0.3kΩ
  • SEEK+:0.5V以下、0Ω

この電圧値を生成する回路を抵抗分割で実現するとして印加電圧が5Vだと仮定するとこの図のような回路と抵抗値になると思われます。この回路図はあくまでも僕が予想したもので実際とは異なるかもしれませんので、ご注意ください。
ステアリングスイッチ内部回路

 では、どうやって電圧を検出するかですが、最近ならマイコンを使ってA/D変換で電圧を検出しデジタル出力ポートを操作するという方法になるでしょうが、僕はまだマイコンのスキルがないので、昔ながらの手法でICを組み合わせて作ることにします。

 電圧の検出にはアナログコンパレータ(以下コンパレータ)を使います。ただし、コンパレータは一つの基準電圧に対して大きい化小さいかの判定しかできません。ですので、複数の区間で電圧の値を区別するにはコンパレータを複数組み合わせてやる必要があります。つまり、区切りとなる電圧の中間に基準電圧を設定すればよいのです。つまり、

信号電圧 基準電圧
   5V
     4.2V
  3.4V
     2.7V
   2V
     1.5V
  0.9V
     0.5V
   0V
という感じに基準電圧を設定します。SEEK+の「0.5V以下」とは抵抗値から考えて実質0Vだと思います。
 基準電圧が4つあるのでコンパレータも4個必要になります。そして、信号電圧がどれかを判定するには、隣り合う二つのコンパレータの出力を使えば良いです。
 例えば、基準電圧2.7Vと1.5Vのコンパレータ出力を見ているとき、信号電圧が3.4Vであれば二つとも同じ出力になります。同様に0.9Vのときも同じです。そして、信号電圧が2Vになったときにお互い異なる出力となりますので、これを検出すれば良いことになります。お互いに異なる値の時だけを検出するときに使うのはXORゲートです。デジタル回路理論の基本ですね。
 これらの基準電圧を作るのも抵抗分割を利用します。抵抗値は15kΩ、30kΩ、22kΩ、20kΩ、10kΩとしました。回路は単純な直列回路です。
基準電圧生成抵抗分圧回路
 基準電圧は信号電圧の間にあれば良いので少々ずれていても問題ありません。

 ということで、抵抗器とコンパレータICとXORのロジックICでできそうです。使用する部品は、なるべく手持ちのものを利用することにしました。ケースは前と同じくemaのど飴の空きケースを再利用してます。基板は手持ちのユニバーサル基板を切り出して使います。今回はガラスエポキシの電源バス付両面基板という高級品です!コンパレータはLM339、XORロジックIC見つからなかったので代わりにXNORゲートの74LS266を使用しました。抵抗は分圧回路用とコンパレータ出力端子のプルアップ用です。
 これが部品の一覧写真です。他に電源パスコンに0.1μFのフィルムコンデンサを使ったのですが、写真に入れるのを忘れてました。

使用部品

 最初、電源として5V単一を考えていましたが、試してみるとうまく検出できない場合があることが分かりました。よく調べると入力信号電圧に対して電源電圧は十分余裕を持たせる必要があることが分かりました。信号が0Vから5Vまでの範囲なので高い方は12Vを持ってくることにしましたが引くい方は負電源が必要になるのでどうするか悩みました。
 探してみると負電圧をつくるDC/DCコンバータがあったのでこれを利用することにしました。TIのTPS60401です。これはチャージポンプタイプで入力電圧を反転した電圧を出力してくれます。5Vを与えれば-5Vが得られます。

TI-TPS60401

 コンパレータLM339の電源を5V/0Vから12V/-5Vに変更したので、コンパレータの出力電圧も変わります。LM339はGND(0V)端子が無く、出力端子はオープンコレクタなのでこうなります。そのため、XNORゲートIC74LS266への入力であるTTLレベルに合わせるためクランプ回路を追加しました。最終的に下記の回路となりました。

全体回路図

今回はすっきりコンパクトに作れたので割と満足してます。ロジックICには複数のゲートが入っており、通常は全部使いきることは少なくて、未使用ゲートができてしまうのですが、今回は全部使いきれたので気分がいいです。とはいっても、VOL+、VOL-の系統はそもそも未使用なのでそれは無駄だろ、って気もしますが。

 ではいよいよ、製作に入ります。今回はICソケットを使わずに基板に直接実装します。その方がコンパクトにすっきり仕上がるので。まずICと周辺の部品を取り付けました。
基板途中表.jpg
基板途中裏.jpg

 次に-5VをつくるDC/DCコンバータICを取り付けます。表面実装パッケージでしかもピッチが細かいので作業が難しいです。今回は両面基板だったので、部品面に実装することができました。そしてユニバーサル基板に実装する時の工夫としてICを45度回転した形で実装します。そうするとスルーホールパターンを大きく使えるので実装しやすくなります。
TI-TPS60401実装.jpg

 残りの部品と配線を施して完成です。
基板完成表.jpg
基板完成裏.jpg
これをケースに入れるとこうなります。ケーブルの通る部分を削って穴を開けておきます。
基板をケースに設置.jpg
さらに蓋をすると完成です。
完成.jpg

 では早速テストしてみましょう。
動作確認NHK
動作確認NHKEテレ
ちゃんと動作しました。画面の上部にアナログチューナのチャンネル表示、下部にはデジタルチューナのチャンネル表示が見えます。どちらも同じになっているのに注目!!ステアリングスイッチでチャンネル操作する限りは同期して変化します。

 長い期間にわたって20型プリウスの地デジ化に取り組んできましたが、これで完成です。アンテナのダイバーシティが有効になってないとかまだ課題はありますが、ひとまず完了とします。ほぼ思い描いていたとおりのものができたので大変満足してます。これで、これからも20型プリウスを楽しめます!
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コメント 1

essa

 イヤーすばらしい!
私は、定年になって、更に時が過ぎて、今更のようにプリウス改造にのめり込んでいるjijiです。
 そもそも、「抵抗」がどんな役割をしているかがまったくわかりません。Electricityは電子工学の勉強されたことがあるのですか?
 尊敬してしまいます。
 私は、今DVDプレイヤーの取付を試みておりますが、プリウスの構造上を考えて、考えて実行したつもりが、(マルチプレイヤーを生かしたまま延長線をつけて別の処に置いています)ステアリングスイッチのMOOD、ボリユーム、ブルーツースボタンが機能しなくなってしまいました。ビートソニックの変換アダプターを使えば簡単なのでしょうが、高額なため意地になって使っていません。
 Electricityさんアドバイスいただけないでしょうか。
by essa (2017-02-01 09:52) 

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